老後、マンションに独居するデメリットはなに?
高齢化社会と言われる今や65歳以上の一人暮らしは男女共に非常に増えています。
2015年のデータで男性が約192万人、女性が約400万人と合わせて約600万人の高齢者が単身で住む割合が顕著に増加していると内閣から発表されているように、独居高齢者は今や「普通のこと」になりつつあります。
しかし一方で高齢者が一人で暮らすのはリスクが高く、特にマンションでの一人暮らしはメリットよりデメリットが多いと言われています。
元は家族と一緒に暮らしたマンションも、子供の独立と同時に広い部屋にに1人きりになってしまった…まだまだずっと先の話かもしれませんが、そうなったらあなたはどうするでしょうか?
思い入れもあるうえに子供たちも頻繁に帰ってきてくれるし、特に世話を近くでしてくれる人もいない。
わざわざ引っ越すのもお金と手間がかかるし、住み続けてしまうのが良いかもしれないと思う方も多いのではないでしょうか。
しかしマンションの構造的に見ても、複数人で一緒に住んでいたファミリー層向けのマンションは1人暮らしには不向きなことが何かと多いです。
特に老後を迎えてその広々としたマンションに1人で住み続けるのは、負担になることが非常に多いんです。
今回はそんな老後、マンションに1人暮らしをするデメリットをまとめてみました。
今後そうなる可能性がある方はぜひ目を通してみてください!
老後で一人暮らしをするデメリット
トラブルに遭うことも…!
近年、単身の高齢者を狙った詐欺が多発しており、オレオレ詐欺の場合、被害の80%は60歳以上の高齢者というデータも発表されるほど!
若者ですら騙される程手口も巧妙になってきているので、すぐ近くに相談者がいない高齢者であれば余計に騙される可能性も高くなります。
一人暮らしの場合、こういった防犯対策は当然ながら自分自身でやらなければいけないため、高齢者1人がそれをやるには荷が重い場合があります。
スペースを持て余し、寂しさをより感じてしまう
高齢者の一人暮らしというと単身者用の小さなマンションに住んでいる…のではなく、スペースの余った広いマンションに子供が巣立った後も住み続けているケースが実は多いんです。
1人で持て余してしまうマンションは、掃除など部屋を維持するだけでも一苦労ですし、何より空いたスペースを見ては子供のことを思い出して寂しくなってしまったりと精神的にも良くありません。
まだまだ老後はずっと先の話、という方も一度想像してみましょう。
今住んでいる空間を見渡して、もしもこの空間に自分以外誰もいなくなったらどんな気持ちになるでしょうか?
「全然平気!」という方はそこまで多くなく、寂しくて胸がきゅっとしてしまう方がほとんどでは?
そういう方の場合、もし現実にそのような状況に直面すると「子離れができず頻繁に電話をしてしまう」「常に寂しくて涙が出てしまう」など自他共に苦しくなってしまう場合があります。
そんなときに大切なこと!
まず「ムリしてこのマンションを自分の終の棲家にする必要はない」と考えるようにしましょう。
もちろん思い出深いマイホームであることに変わりはありませんが、家とはライフステージによって変化していくものであり、自分が我慢してまで住み続ける必要はありません。
「老後の人生を楽しく過ごすためには、どんな家に住むのがベストなのか?」まずそこをしっかり考えるようにしましょう。
認知症の発症率が高い
定年を迎えると毎日通っていた職場に通う必要もなくなり、外との交流をする機会が減ってしまいます。
必然的に家にいる機会が増える一方で、特にマンションは地域によってはそんなにご近所付き合いをしない方も多いため、自分から意図的に出かけない限りは他人と接する機会を持つことができません。
特に用事はなくても外に出かけるのが好きという方なら問題ありませんが、反対に家に引きこもってしまった結果、社会から孤立してしまう可能性も大いにあり得ます。
家でゆっくり過ごすのが悪いことでは決してありませんが、脳に刺激がない状態で1人で過ごす生活は認知症になりやすいと言われており、厚生労働省の統計では単身の高齢者世帯の中で65歳以上の認知症発症率は約9%もあるんです。
一度認知症を患って介護者もいないまま同じ生活を続けていると認知症は悪化していく傾向にあります。
ごみ出しや騒音など悪いことをダメだと認識できないまま周囲に迷惑がかかる行為をして近隣住人とトラブルになるケースが多く、最悪マンションを「強制退去」させられてしまう危険性も…。
もちろん老後の独居は必ずそうなるという事ではありませんが、対応策を早めに考えておくとよいでしょう。
もしもの時に周りに気づいてくれる人がいない
高齢者の1人暮らしの最大のデメリットの1つがこれ、突然病気になったり体に異変が起こり動けなくなっても、周囲にすぐ気づいてもらえないというポイントです。
「高齢者の孤独死」というニュースを時折テレビで見かけますよね。
これは実際に起こり得ること、他人事と思ってはいけません。
いくら定期的に子供が帰ってきてくれる、お友達など訪問者が多いとは言っても、もしもの時に必ずしも誰かが傍にいて病院に連れていってくれるという保証はありません。
すぐに病院に行けば助かったのに…という最悪な結果に繋がってしまっては元も子もありませんので、「もしもの時でも安心できる」環境に身を置くのは、自身にとっても周囲のご家族にとっても大切なポイントです。
快適な老後を送るための施設一覧
上の段落で高齢者のマンション一人暮らしは問題が多いという話をしましたが、具体的にじゃあどうすればいいの!?と思われる方は多いのではないでしょうか。
ズバリおすすめの方法としては、今所持しているマンションを売却し得た資金で、自分の老後にぴったりな場所へ住み替えすることです。
まず老後の生活を安心して送るために欠かせないポイントとして、
- 安全性が高い
- 定期的に他人とコミュニケーションが取れる
- すぐ傍に頼れる人(介護者)がいる
が、どんな環境であれ外せないポイントでは?
もちろん一般の単身者用賃貸に住み替えるのも1つの選択肢ではあります。
けれども場所によってはご近所付き合いを一切しないような環境に身を置いてしまうリスクがあり、「せっかく住み替えたのに先行きが不安」という事態になりかねないので、個人的にはオススメしません。
では上記で紹介したような老後の様々なリスクを加味しながらも、ここからは単身の高齢者にとってオススメの住み替え場所を提案していきますね。
高齢者賃貸
メリット
- 施設によっては相談員が常駐しているので、いつでも相談が可能
- 完全個室なので、プライバシーが確保できる
- バリアフリーなので、住みやすい
デメリット
- 月々の費用が施設によっては高額になる(助成金で負担を軽減できる場合も!)
- 人気の施設になると入居するまでに時間がかかる
- 重度の要介護状態の場合、入居が難しい
高齢者の方々に限定した、バリアフリーの賃貸住宅。
要介護認定の方が入る老人ホームとは違って、入浴や外出の制限も少ないため、まるで自宅にいるのと近しい環境で生活が可能。
日中は生活相談員が常駐してチェックしてくれますし、別途介護を受けることもできます。
また施設によって異なるものの共有スペースで入居者同士交流でき、レクリエーションも用意されているので、1人の時間をしっかり確保できる環境ながらも寂しいと感じる事も少ないはず!
高齢者シェアハウス
メリット
- 入居費など初期コストが安い
- 人との距離が近いので寂しさを感じない
- 入居者同士、助け合って生活ができる
デメリット
- 見ず知らずの人との共同生活が苦痛に感じる場合も
- 身の回りの事は全て自分でやる必要がある
- 要介護状態の人は、入居が難しい
まだまだ認知度は低いものの、マンションの1室に複数の高齢者が支えあいながら共同生活を送る「高齢者シェアハウス」
高齢者賃貸との大きな違いとして介護サービスや相談員が常駐などそういった高齢者向けサービスはついていないこと(その分コストはリーズナブルになりますよ!)。
本当に誰かと同居しながら普通の生活を送るというイメージ。
また高齢者シェアハウスといっても入居者は高齢者のみならず大学生から中年層までと年齢はバラバラ、元気を貰える上に様々な年齢の人と交流もできるんです。
とにかく1人の空間に居るのは寂しい!という方におすすめで、個人部屋以外は自宅と同様共有スペースとなるので、身近に人を感じながら生活が可能です。
ケアハウス
メリット
- 月々のコストが安いので、少ない金銭負担で利用できる
- 介護型であれば介護度の段階が変わっても長く住める
- 完全個室なので、プライバシーが確保できる
デメリット
- 入居希望者が多いので、入るまでに時間を要する
- 介護型は初期費用が高くつく
- 施設によってサービスの格差が激しい
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は、老人ホームよりも月額費用を抑えて入居できます。
所得や資産が心もとない高齢者は優先して入居できるため、「介護は必要だけど、老人ホームは毎月の費用が高すぎて手が出せない」という方にぴったりの施設です。
ケアハウスは基本入居者共同で使う共同スペース(浴室、リビングなど)と個室が用意されており、一歩出れば他の入居者に会える環境にあるため寂しくありません。
ケアハウスは2種類に分けられる
- 健康で自立した人が入る一般形
- 軽度~重度まで要介護の高齢者が入る介護型
介護型は初期費用が高い代わりに介護レベルが上がってもそのまま暮らすことができます。
一方で、一般型は初期費用が安い代わりに万が一要介護の状態になった際は退去しなければならないリスクがあるので、あなたにとって「どちらが最適か?」を入居の際はよく考えるようにしましょう。
老人ホーム
メリット
- 24時間体制の介護
- レクリエーションやサークルなど入居者同士の交流が盛ん
- 重度の介護者状態であっても入居可能
デメリット
- コストが高額になる場合がある
- 施設数が多いので、決めるのに時間がかかる
- 60歳以下・介護の必要のない方の入居は難しい場合がある
誰もがおそらく一度は聞いた事があるであろう「老人ホーム」。
まだまだ元気なのに!ともしかしたら抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、老人サービスは通常の介護やリハビリなどのサービスから共有施設や入居者同士のレクリエーションなどリフレッシュ出来るイベントも盛りだくさん!
サービスの手厚さは紹介した施設の中でダントツトップであり、施設数も多いので、上で説明している賃貸やシェアハウスのように空きを待たずに済みます(ただ逆に数が多いので、あなたにぴったりの施設を見つけるのは少し時間がかかることも!)
自立した生活を送れる老人ホームもあるので、必ずしも介護が必要な人ばかりが入居するわけではありません。
そして、老人ホームは例えば認知症など重度の介護レベルであっても受け入れてくれるので有難いですよね。
自分のことを第一に考える
いかがでしたか?
今回は、老後のマンション独居のデメリットとその上で最適な住み替え先を提案しました。
定年を迎えれば、自然と家で多くの時間を過ごすことになりますよね。
そのため単身生活が不便な環境だと、後々大きな問題に繋がってしまう可能性があります。
子供の実家をなくしてしまう、思い出がなくなってしまう…など思い入れのあるマンションだからこそ売りづらいのは当然の気持ちです。
しかし大事なのは、老後の生活をいかに快適に過ごしていくかではないでしょうか?
上記で説明したようにマンション売却ではまとまった資金を得られるので、それを元に次の住処を決められます。
老人ホームやケアハウス、高齢者シェアハウスなど、あなた自身が寂しさを感じる事なく快適に過ごせる場所がどこなのかを一度よく考えてみましょう。
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