マンション売却には、立地条件や間取りの他にも「築年数」が査定ポイントとして関わってきます。
場合によっては、築年数が査定価格や売却金額に深く反映されることも。

ところでマンションって、築年数によってどのような価値変動が起こるのか?
気になりますよね。
築年数による価格推移を把握しておけば、理想的な売却タイミングを掴むことができますよ。
ここでは、築年数によるマンション価格や推移を分かりやすくお伝えしていきますね。
中古マンションで築年数が経つほど価値はどうなる?
中古マンションの価値は年数が経つほど下がっていく
中古マンションの価値は、築年数が経つほどに下がっていきます。
三菱UFJ不動産販売が公表している「マンションと戸建て住宅の資産価値」グラフを見てみましょう。
戸建てと比較すれば資産価値の減少幅は少ないですが、価値が一定に下がっていることがわかります。
とくに築年数1?2年の減少幅が非常に大きいですね。
新築購入直後の下落が激しい原因は、「新築プレミアム」による影響です。
新築プレミアム…新築価格にプラスアルファされた「不動産会社の人件費」「CMや新聞などの広告費」etc。

マンションによっては、約30%も上乗せされているケースもあります。
1日でも住んでしまうと新築プレミアムが差し引かれるため、資産価値が大きく下がる、という仕組みなのです。
築3年以降はほぼ同じペースで価値は下がっていき、築20年前後で50%ほどまで下落します。
築35~40年を過ぎれば落ち着いていき、あとはほとんど横ばい状態となります。
不動産の査定評価では築10年を過ぎるとマイナスに
不動産の査定評価方法には、マニュアル(公益財団法人不動産流通近代化センターの価格査定マニュアル)があります。
査定価格は、このマニュアルにしたがって基準が定められます。
そこにある項目の1つである「築年数評価」を見てみると、築10年まではプラス評価ですが、築年が11年以上となると、マイナス評価に転じています。
つまり、築10年までは査定価格が高くなりやすく、11年以降になると査定価格が下がりやすい、ということですね。
実際は、立地条件・間取り・マンションの状態など総合的な要素を判断して査定されるので、築年数は項目評価の1つにしか過ぎません。
どんなに古くなっても価値が0になることはない
年数が経つほどに価値が下がり、10年以上になると査定評価もマイナスとなる中古マンション。
しかしどんなに古くなっても、価値がなくなることはなく…。
築40年以上を超えると、建物自体の価値はほとんど残りません。
しかし、「土地の価値」はきちんとあるんですね。
マンションの査定には土地の価値が付加されるため、マンションの価値も残るということですね。
土地の価値は、立地条件による
駅から近くて人気のエリアにある所なら土地の評価も高いため、築古でも納得できる価格で売れやすいです。
一方、駅から10分以上離れており人口も少ないエリアにあるケースだと、土地の価値があまりないためマンションを好条件で売ることは厳しいでしょう。
しかし、最低でも新築時の3~4割の価値は残ります。
「0円でしか売れない」事態にはなりませんので、ご安心を。
中古マンションの築年数ごとの売却特徴について
ここでは、築年数ごとの具体的な売却状況を見てみましょう。
築年数5年以内
- 希少性が高いため、新築とほぼ同じor買ったときよりも高く売れるケースもあり
- オーバーローンで購入したなら損することも
この年数だと、一般的に「新築とほとんど変わらない」認識が強いです。
さらにこの築年数が市場に出回ることは少ないため、希少価値も付加されます。
立地条件が良くて市場状況が良ければ、購入時よりも高い価格で売れる可能性があるでしょう。
ですが気を付けたいのが、「オーバーローン状態だと損する」点。
オーバーローンとは、マンション購入価格相当またはそれ以上の住宅ローンを組んでいる状態のことを指します。
住宅ローンの返済は、築年数が浅い時は利息部分が大きいため、ほとんどが利子の返済に充てられています。
この状態で手放しても、ローンの元金がほとんど返せず、追加で資金を用意することになります。
購入金額以上で売れれば問題ないのですが、ローンが残ってしまえば損をすることになるので、注意が必要です。
築年数10年以内
- 築浅物件として人気が非常に高い年数
- 値引き交渉されやすい
築年数10年以内のマンションでは、築浅物件の8割程度まで価値が下がります。
設備や内装はほとんど劣化しておらず、比較的施設も新しいために下落幅が少ないです。
また築浅物件としても非常に人気があるので、早期で売れやすいのも特徴です。
しかし築10年とはいえ中古ですから、あまり高い価格で売り出すと、値引き交渉されやすいですね。
適切な価格を設定し、好景気のときに売りに出すのが得策でしょう。
築年数15年以内
- 手頃な価格で人気がある
- 市場にたくさん溢れているため埋もれやすい
- 施設の劣化が目立ちはじめる
- 大規模修繕の時期にあたる
築15年前後は新築時の70%まで価値は下がりますが、手頃な価格となるため購入希望者を集めやすいです。
ただし、市場には築15年前後のマンションが溢れていますので、埋もれやすいのが難点。
また15年を過ぎるとさまざまな設備が劣化が目立ってきます。
なので、この頃を目処に大規模修繕工事を検討または実施する所が増えてきます。
築年数20年以内
- 新築の半分以下の価値になる
- 適切な販売戦略ですぐに売ることもまだ可能
- 不動産選びが大切
築20年ほどで、価値は新築時の50%ほどにまで落ちます。
購入者にとってはお手頃な価格ですし、住宅ローンもまだ利用できる年数のため、適切な売却価格と戦略を駆使すれば、すぐに売却することも可能です。
建物や内装の古さが目立つ年数ですから、リフォームやフルリノベーションが前提となるでしょう。
納得する売却価格で売りたいのであれば、不動産会社選びが重要となります。
土地勘に強くて販売戦略が巧みな不動産会社を探しましょう。
築年数25年以内
- 購入者が損をしやすい
築25年は新築時の40%前後まで価値が下がります。
この年数は、買い手にとって損が出やすくなります。
それはなぜか?
築25年以内ならば「住宅ローン控除」「不動産取得時の減税制度」を使えるためです。
少しでも過ぎてしまえば、それらの制度が利用しにくくなります。
できるだけ、築25年以内には売却したいところです。
築年数30年以上
- マンション価値の最下落価格に到達
- 立地条件が重要
- 耐震性問題がクリアできるかが鍵
築30年を超えると、新築時のおよそ4割ほどの価値に。
住宅ローンを組みにくいため、現金での一括払いや短期ローンで組める格安価格が求められます。
また、リフォーム・リノベーション前提物件としての人気が高くなります。
ほとんど土地の価値しか残らないので、立地条件が非常に大切です。
駅から徒歩10分以内の通勤・通学圏内なら、売却することも可能でしょう。
しかし築30年以上の場合、耐震制度が「旧耐震制度」に従って建設されているものも含まれるため、耐震性の不安があります。
売り出す前には、耐震性についてきちんとチェックしておきましょう。
マンションを売るのにベストな築年数は?
築15年以内が目安
築年数ごとの価値推移をお伝えしましたが、では1番売却に適しているのはいつなのでしょうか?
一般的には「築10~15年」が大きな目安です。
手頃な価格なので購入層からの人気が高く、しかも新築時の7?8割の価値が残っている状態ですから、早期売却や高い売却価格で成約しやすいためです。
しかし、築15年の目安は、人気が高いエリアに限られます。
- 「人口が少ない」
- 「すでにリノベーションをして改造してある」
- 「日当たりが悪い」
- 「駅から徒歩10分以上」
そのような部屋だと欠点が多いために、高い価格で売りにくくなります。
売りたいと思ったら、すぐに売却したほうが得策です。
築20年以上でも売却することは可能!
「築年数が20年以上なんだけど、それでも売れるの?」と不安に思われる方もいるかもしれません。
しかし前述したとおり、築年数がたとえ30年でも60年でも価値が「0」になることはないので、売却価格が全くつかないわけではありません。
さらに、国土交通省住宅局が公表した「住宅市場動向調査報告書」によれば、実際の購入された物件の築年数は「20年前後」が多いという結果が出ています。
築20年を過ぎれば価格が手頃になりますので、安さに魅力を感じる購入者が多いのです。
マンションを手放すときに気に留めたいのが、「大規模修繕」。
大規模修繕は築15年~30年あたりに集中します。

修繕工事をした後なら、ある程度は綺麗になって設備も新しくなるため、好印象をもたれやすいです。
アピールポイントにもなるので、大規模修繕実施後のタイミングを狙うのも◎。
まとめ
中古マンションは築年数が過ぎるほどに価値は下がりますが、3~4割程度下落したらあとはほぼ横ばいです。
築30年以上だと購入者に敬遠されると思われがちですが、「価値がこれ以上下がりにくい」「リーズナブルで購入しやすい」などメリットもありますので、上手な価格設定と戦略で臨みましょう。
特に「築15年以内」「大規模改修工事が終わった時期」なら、すぐに売ることをオススメしますよ!
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